アールト大学 IDBM留学日記

デザイン × ビジネス × テクノロジー

アールト大学Period 5 & ヴァンター川でサイクリング

アールト大学の学期スケジュールの最終ピリオド(Period 5)に突入し、早速1週間が過ぎました(1つのピリオドは大体6weeksほどで、このあと1weekのexam week があります)。Period 5は夏の前の最後の期間ということで、色々なことが様々な場所で慌ただしく進んでおります。ちなみにこのピリオドで僕が取っている授業は以下の通り:

  • Industry Project(1月から続いている例のプロジェクト)
  • Business Negotiation
  • Global Gaming Industry
  • Service Business Models(詰め込みすぎたので落とすかもしれない)
  • Consumer Behavior

IDBMの1年目の1~5月はIndustry Projectがかなりのウェイトを占めます。Team dynamics的に自分が物事を推し進めている一人の場合、このウェイトもさらに重くなります。皆で楽しんでやれているのでいいんですけどね。このクラスの最終プレゼン大会が5月17日。それまで残り3週間しかないと考えると時間が過ぎる速さを感じます。このプロジェクトのキックオフがつい昨日のようです。

春の訪れ

今(4月の終わり)でこそヘルシンキの街は新緑がまぶしく、花も咲き始め、気温もゼロを下回ることがなくなりましたが、ほんの少し前までは結構な寒さと隣り合わせな日々でした。

日も長くなりましたね。今では朝6時には空も明るく、夜21時でもまだ真っ暗にはなりません。本格的に春が訪れたといっても良いでしょう。冬の間活躍してくれたブーツもしまいました。

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新緑その1

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新緑その2

ヘルシンキのシェア自転車

先日、HSL(ヘルシンキ市の公共交通局)のシェア自転車サービスに登録しました。Docomoのバイクシェアリングのフィンランド版みたいなものです。このところ天気が良い日が続いていたので、週末このシェア自転車にのってサイクリングに行くことにしました。

市内各所にある黄色い自転車ステーションが目印です。オンラインでアカウントを登録し、プランを選択。1日パスは5ユーロ、1週間パスは10ユーロ、シーズンパス(10月の終わりまで)は30ユーロです。僕はシーズンパスを購入しました。1回の利用毎に30分まで乗れますが、オーバーしてしまった際はそこから30分毎に1ユーロ課金されます。5時間を超えてしまうと80ユーロの罰金が下されます。借りる際はユーザー番号と暗証番号を自転車の端末に入力すればロックが解除されます。返却は345箇所ある、どのステーションでも可能です。 

ヴァンター川でサイクリング

僕が住んでいるのはヘルシンキ市の中心地からバスで20分程北へ行ったKoskelaという地区。実は家のすぐ近くにヴァンター川(Vantaanjoki)という素敵な川&緑道があるのを最近発見しました。川の両サイドには素敵な緑道が整備されていて、ウォーキング/ランニング/サイクリングに最適です。

家の前に自転車ステーションがあるので、自転車を借り、川を遡る形で1時間半ほどサイクリングを楽しみました。素晴らしい自然がすぐ近くにあり、自転車もレンタルできるのはいいですね。ヘルシンキフィンランド)の魅力の一つだと感じます。

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Vantaanjokiへ続く道

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ヴァンター川のほとり

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ほとりその2

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綺麗な緑道

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結構な田舎も通ります

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川のすぐ側にちょっとした丘も

ちなみにこのレンタル自転車で呑気にサイクリングしてたのは僕一人だけでした。他の人々はそれっぽいマウンテンバイクを乗り回してました。 

結論

ヘルメットを買いましょう。

フィンランドのオーロラを見にロヴァニエミまで行った話

フィンランドと言えばやはりオーロラ。空から降り注ぐ光のカーテンは人生で一度は見てみたいもの。せっかくフィンランドに住んでいるのだから冬のうちに見に行かないという選択肢はない、ということで、オーロラを見に行ってきました。

When?

オーロラ観測ができるのは聞いた限り、11月〜4月の間。Solar Wind が強いタイミングと、天気が良いタイミングが重ならないといけないのがトリッキーですね。

Where?

フィンランドのどこでも見える、というわけではなく、かなり北まで行かないと見えません。ごくまれにヘルシンキでも見えるらしいですが、やはり北の方へ行くのが無難です。僕はヘルシンキから約800km北の都市「ロヴァニエミ」まで行きました。

で、見えたの?

結論から言うと、「しょぼいのが少し見えた」です。

持ち物

スマホではあまり綺麗に写真を撮れないと思い、アールト大学のtakeoutで三脚とCanonのDSLR+レンズを借りました。アールト大学では本当に様々な機材が全部無料で借りられます。とても便利です。

ロヴァニエミまでの行き方

飛行機でもいけますが、安かったので僕は電車でいきました。ロヴァニエミまではヘルシンキからVRという電車(※バーチャルリアリティではない)を使い、約8時間ほどでつきます。

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ヘルシンキから北へVRで8時間

ロヴァニエミ市街地

ロヴァニエミは有名な観光地で、アングリーバーズ公園もありました。かわいいですね。子供達もたくさん遊んでいました。

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アングリーバーズ公園

Arktikumという、北極圏の原住民文化を紹介する博物館もあります。展示は充実しており、見応えありです。

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Arktikum

オーロラの仕組みコーナーもあり、予習することができました。

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オーロラの発生する仕組み

続いてサンタクロース村へ突入。ロヴァニエミ市内から市バスで約30分でいけます。本物のサンタさんに会えました。観光地化が激しくなり、流れ作業のように人と会うので、現在は2人います。

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サンタクロース村

オーロラ観測

ロヴァニエミに来ても、市街地では人工の光が強いのでオーロラ観測はあまりできないそうです。なのでオーロラ観測ツアーに申し込みました。ガイドさんがミニバンでスポットに連れていってくれるタイプです。これは申し込んでおいてかなり正解でした。

21:30 - ピックアップ
3月の終わりではもう日が長くなってしまい、暗くなるのが夜8時くらいなので、遅めのスタートです。

22:00 - 第1スポット到着

ところどころ曇りの空の奥に星空が。ここではオーロラは出現せず。星は綺麗だったんですけどね。1時間ほど待ちましたが出ませんでした。

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星空は綺麗

ずっと見ていられる

23:00 - 第2スポットに移動

到着していきなり!かなり薄い光を確認。下の画像ですが、中央部分のこの薄い緑がオーロラだそうです。見えますかね。このまま待つことに。

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オーロラ出現

ガイドさんによると、光はだんだん強くなり、上の方に上がっていくそうです。実際1時間ほど見てましたが、なんとなくそんな感じだったと思います(適当)。

さらに待機し、バシャバシャとシャッターを切っていきました。そして撮れたのが以下のような写真です

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段々強くなるオーロラ

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多分この時が一番濃かった

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車が横切る光も撮影

濃い緑色の光がでてきたのが5分ほど。
それ以外は雲がかかってしまったり、光が弱かったり。

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シャッター押してあげるよ!とガイドさんに言われて撮ってもらったものの、フォーカスがあってなくピンボケ

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そして雲に遮られ、そのうち消えた

ちなみにガイドさんによるとオーロラの撮影には以下の設定がオススメだそうです:
シャッタースピード13秒〜20秒(強さによっては長くすればもっと濃く撮れる)
F値は最小に
・ISOは1600くらい
・フォーカスはマニュアル、∞に
・手ブレ補正オフ
・ノイズリダクションオフ
・あとは現地で撮りながら調整(特にシャッタースピード

こういう写真撮ってみたかったなーと思いつつも、オーロラを見えたことは良かったと思います。いつか機会があればまたオーロラを観測してみたいですね。

深圳&香港:HAX, seeed Studios, brinc, Smarlean訪問、その他色々

深圳と香港に行った目的は企業訪問と、現地の様子の観察。今回のエントリーは深圳と香港での企業の訪問についてです。僕等のプロジェクトテーマがIoTに関することを考慮するとやはり深圳という街に行けて、また、現地の会社にたくさんナマのお話を聞かせてもらえたのはものすごい収穫でした。ただ訪問内容に関して、ここではかなりざっくりとしか書けないことについては何卒ご容赦をm(__)m

訪問した企業①:HAX(旧名Haxlr8r)

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HAXはかなりの秘密主義。オフィス内部も最後の集合写真以外は一切禁止。

HAXは世界最大のベンチャーキャピタル型ハードウェアアクセラレーター。オフィスは深圳とサンフランシスコにあり、選び抜かれたスタートアップがHAXの援助を受けながら成長を目指すというプログラムです。深圳オフィスは最大の電気製品街「华强北」のど真ん中にあります。実はHAXはかなりの秘密主義だということでも有名で、ウェブサイトを見てもオフィスの所在地は書いてありません。僕らもアポ当日までオフィスの場所がわかりませんでした(笑)一部聞いた話では、目的なくHAXをただ見てみたいという団体の視察要望が多すぎて対応に困り、今は意味のない訪問を受け付けていないのだとか。僕等もダメ元で「会ってください」といきなりメールを送ったのですが、なんとデザイン責任者の方が返信してくれ、現地では丁寧に対応してくれました。マーケットのツアーまでしてくれたのは感激。そもそもメールに返信してもらえると思っていなかったのでビックリです。学生であることを考慮してくれて特別に会ってくれたのかもしれませんね。

HAXのデザイン責任者から聞けた話をまたざっくりまとめると以下のような感じ:

  • HAXが支援する企業には本当に成功してもらいたいと思いで支援している。支援先の会社のエクイティを取得するので、資金だけでなく、ハード、ソフト、ビジネスモデル、その他色々な切り口で援助。
  • プロダクトをローンチしたらもう2つ目(または改善版)をローンチする準備をしていないといけない。それくらいのスピードがないと正直やっていけない。
  • 华强北で見れる大量のコピー製品について。オープンソースとコピーの境目はどこか? → 深圳(というか中国)でコピー製品をコントロールするのは不可能。それは長年先進国がアウトソース先として中国に依頼してきた代償(実際、本当にiPhoneそっくりの偽物がわんさかマーケットで普通に販売しています。本物です、という証明のシールも領収書も売っている)。自分がコピーしなければ結局誰かがコピーする。コピーという概念は間違ってはいるが、中国のコンシューマーはブランドロイヤリティがほぼ無い。元と同じように動くものが安く手に入るのならあっさりそっちに乗り換える。ここの文化は「シェア」の文化。いいものはどんどん盗むし、盗まれる。
  • なのでHAXでは盗まれにくいものを支援(技術は盗まれるので、それを取り巻くビジネスモデルだとか、そういったもの含め)。
  • デザイン思考のようなプロセスはHAXではやっているのか? → NO.むしろどっちかというとデザイン思考反対派。メソドロジーは腐る程ある。深圳ではDoingが尊重される。課題がうんぬんよりもとにかく早く、速く作って検証してしまうほうが良いとの考え。そのために深圳という街でやっている。

訪問した企業②:Smarlean

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製造するディスペンサーも色々

Smarleanは深圳にあるディスペンサー(石鹸、洗剤、トイレ紙の)を受託製造する会社。創業16年目にして中国内における医療用の手の石鹸ディスペンサーはシェアNo.1だそうです。創業者兼副社長の方がこれもまた丁寧に会ってくれました。(本当に、メール1本送っただけで良く会ってくれるなと思いました。。)Smarleanは深圳中心部から1時間半ほど電車で北へ行ったところにあります。開発が猛スピードで進むエリアへ朝のラッシュにもまれながらもなんとか到着。応接室には製造しているディスペンサーがずらり。ベストセラーモデルからカスタムメイドのモデルまで、色々ありました。

Smarlean副社長から聞けた話はこんな感じ:

  • 主な発注企業は米国のKimberley-Clark社等。
  • ディスペンサーの中身を他社にすり替えられないよう、中身も同時に製造して納品。他社の参入を防ぎ、マーケットは自分で守るもの。
  • 受託製造者の優先事項は徹底したコストダウン。衛生管理用品は売り上げを生むものではない。
  • よって衛生管理用品マーケットはかなりトラディショナルな市場。イノベーティブなことができるのは薄いエリア。
  • 下手にR&D投資はできない。して顧客が欲しがらなければ命取りに。
  • SARSやインフルの影響で国民の衛生に対する意識や関心は高まってはいる。なのでディスペンサーを設置する場所も増えているのでマーケットは拡大している。

訪問した企業③:seeed Studios

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seeed Studioのオフィス内部

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エントランスのマット

seeed Studiosも視察に人気がある企業です。The IoT Hardware Enablerという副題がついているだけに、主にIoT系スタートアップを支援する会社ですが、HAXと違うのは投資するのではなく、少量のハード製造(プロト製作)によってスタートアップをサポートするというもの。まだコンセプト段階のものは大企業の大量生産モデルに請け負ってもらえないため、数十個〜数千個という単位までやるのが強みだそうです。メインの事業はPCB(Printed Circuit Boards)の開発と販売。カスタムオーダーも請け負っています。ここではテクノロジーエバンジェリストの方からお話を伺えました。

seeed Studiosから聞けた話はこんな感じ:

  • ハードウェアで難しいのは本当は技術云々ではなく、顧客やコンシューマーのニーズを理解すること。
  • 多くの企業は↑をスキップするからハズす(み、耳が痛い...)。
  • スケーラビリティはコストダウンできるのでプロトタイプができたら早いほうが良い。
  • 5Gは業界を別に変えない(動画を必要とする広告配信くらいじゃない?)。
  • 個別の企業ではなく、業界全体向けにつくらないと意味がない。
  • seeedが提供するGroveをスマート農業に使う試みとしてIoTea(Internet of Tea)(笑)というプロジェクトがあった。
  • 現在はそこからの学びを生かし、システムインテグレーター向けのIoTプラットフォームを開発中

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お仕事中お邪魔しました(※本当に邪魔だったと思う)

ちなみにseeedのオフィスは電機大手TCLグループが提供する街区にあります。かなり整備されて素敵なのですが、ここで噂のヒューマンレスコンビニを見つけることができました。

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無人コンビニ的なアレ

遂にWechatPayもAlipayも始められなかった僕らは何も買えませんでしたが内部のレイアウトは見れました。が、残念なことに故障中?でオーダーと決済を行うディスプレイが死んでました。

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ディスプレイが死んでた。本当は画面で注文と決済をする。はず。

訪問した企業④:brinc

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香港のハードウェアアクセラレーターbrincのオフィス

こちらの企業は香港に渡ってから訪問した企業です。brincはHAXと同じように企業のエクイティを取得して共に成長を目指す形式のアクセラレーター。香港のヒップなエリアに素敵なオフィスがあります。ここでは共同創業者にしてCOOの方が案内してくれました。

brincから聞けた話はこんな感じ:

  • 香港という本社所在地を選んだのは中国国内だと金盾の影響が出てしまう。
  • brincはビジネスコンセプトとチームを見て支援するかどうか決める。
  • 創業者は2人という確信みたいなものを持っている。
  • brincでは人々の生活から採取できる「データ」を重視して事業を選択。
  • ソフトウェアでは全てが繋がっているが、ハードでは繋がっていないものがほとんど(椅子、机、ドア、なんでも)。
  • 今まで気にも留めなかったことに注意深く目を向けてみると驚くほどのことがわかる。

その他色々訪問

深圳と香港では企業の訪問だけでなく現地のシャオミの旗艦店やIoT博物館(?)なども見れました。いくらオンラインで調べられるとはいえ、読むのと行って体験するのは別物。ここからは色々訪問できた写真シリーズです。

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小米之家-外観

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小米之家-内観 コンシューマー向けIoT製品が2階に色々売ってます

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文字通りカラオケBOX

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メトロ駅前に並ぶ大量のofo

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华强北のメイン通り

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マーケットはこんな感じ(本当に広い)もうカオス

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液晶広告にOSのウィンドウが映り込む不具合w こういうところも好き

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ブロックチェーンカフェ。意味不明です。(ただのカフェでした)

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今回の中国でもやはりサソリやムカデは食べられませんでした

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が、深圳でも香港でも美味しい物を食べまくりました。やはり食においてアジアは最強!

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定番写真

以上、深圳+香港で訪問できた企業のまとめでした。月〜金までの5日間、1日1件の訪問+エリア視察+皆で観光というかなりハードなスケジュールでしたが、膨大なinputがある実りの多い調査旅行だったと思います。チームも終始、特になんの問題もなく旅程をこなせました。

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深圳・香港旅行無事終了

Industry Project 調査旅行:深圳&香港 <準備編>

IDBMのIndustry Projectの特徴の一つに、一人1,500ユーロの予算が割り当てられ、調査のために旅行に行く機会があります。この予算は飛行機代と宿泊代に使うことができます。このトリップに関しても何故いくのか、何処に行くのか、どうやって行くのか、などはチーム内で話し合って決め、クライアントの承認を得る必要があります(予算はクライアント側から出ている)。チームによってはクライアントより〇〇へ行けと指定されるケースもあれば、僕らのチームのようにかなり自由に考案できるものもあります。僕等は3月の中旬に調査旅行を決行。今回は深圳に行くまでの準備編です。

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连华山公園からの眺め

目的地決定:深圳と香港へ

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宿泊は深圳の西側の桃园という駅近く

僕らのプロジェクトの内容がテックと深く関わりのあるため、深圳と香港に決めました。他にもシンガポールや米国などの候補があがりましたが、深圳はアジアのシリコンバレーと言われるほどテックが進んでいる都市。僕自身も深圳にはまだ行ったことがなかったので正直楽しみにしていました。土曜日の夜にヘルシンキを発ち、深圳に4泊、香港に3泊する1週間の旅を計画しました。 

深圳への入国

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国境付近 - このようなバンで通過

深圳へはヘルシンキから香港を経由して入る道を選択。香港から深圳に入る場合、①香港の出国と、②中国の入国のパスポートチェックを行う必要があります。色々調べていきましたが、ホテルが南山区(深圳の西寄りのエリア)にあったので、深圳湾のイミグレ(ホテルに近め)を経由するものにしました。香港空港でバンに乗り、高速道路を走ります。国境の香港側での出国の手続きは車内で通過できますが(検査員がパスポートを見て車内を確認する感じ)、中国入国の際は一旦バンから荷物を持って下車し、建物内でイミグレを通過する必要がありました。チームメートは全員中国に入るために事前にビザを申請する必要がありましたが、日本旅行券は15日間以内であればビザなしで入出国できました。すごいですね、日本のパスポート。

深圳での通信事情

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China Unicomの8日間2GB SIM

事前に調べておいたChina Unicom (HK)のデータSIM(8日間で2GB)を中国のボーダーで売ってる窓口を発見し、購入できました。これをあのタイミングで買っておいたのはかなり正解だと実感。このSIMは深圳でも香港でも使え、さらに中国本土内でもfacebook, Instagram, Twitter, LINE, Google等も全て使えたのでとても便利でした。ただし、Google Map上の情報は古いので中国国内では高徳地図をダウンロードしておくことをオススメします。Google Mapと同じようにナビゲーションできます。深圳に入ってからSIMを買ってしまうと(多分)これらのサービスが金盾(ファイアーウォール)にブロックされます。なので事前にVPNもダウンロードしておくことをオススメです。また、香港でも使えるSIMを深圳で見つけるのは難しいです。

深圳での現金事情

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ホテル近くの様子

色々な記事で「深圳では現金もクレカも使えない。全ては微信支付(WeChat Pay)か支付宝(Alipay)しか使えない」と読んでいたので正直心配してました。2018年後半より、中国国内の銀行口座を持っていないと、WeChatPayもAlipayも他の人からの送金を受け付けてくれないからです。僕も中国本土に住んでいる友人に送ってもらおうと協力してもらいましたが、ダメでした。Wechat Payもなく、クレカも現金も使えなかったら死亡!ですが、行ってみたら結論、現金はほぼ全てのお店で使えました。注意すべき点はクレカは中国国内のものしかほぼダメ、ということです。Wechat Payが使えない場合、現金を用意しておくことをオススメです。ただ現地の人を見ているとやっぱりWechat Pay は速いですね。 

深圳での英語

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街中でも緑が多いのが印象的

あまり通じません。香港に近いですが、ありがたいことに広東語ではなく普通话が話されます。がんばって学んでた普通话を使ってコミュニケーションができたことは嬉しい出来事でした。友人によると広東省にある都市のほぼ全ては広東語なのに対し、深圳は新しい都市のため全国から人がやってきて人口形成をしているので普通话が話されているとのことでした。

深圳での交通事情

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深圳の地下鉄の駅 - 東京メトロ南北線のようなイメージ

かなり綺麗な地下鉄が発達しています。現在も路線を延長したり、工事を進めたりと公共交通網は充実していると思います。バスもかなりわかりやすいです。スイカのようなバス&地下鉄okなICカード「深圳通」は大体の駅で購入できます。これを買っておくと便利です。ちなみに以前北京に行った際、客は列を成して並ぶことなどなかったのですが、深圳の地下鉄のホームでは意外と皆ちゃんと並んでいた気がします。

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深圳通を買える端末

色々準備が大変だった深圳ですが、行ってみると食事は安くて美味しく、空気も北京ほど汚染されてなく、活気のある街だと感じました。次回は深圳でのアポについて書ける範囲で書いてみようと思います。

ヘルシンキでの寒さ対策

家族から「IDBMの中身だけじゃなくて現地での生活の様子もアップしろ!」とのリクエストにより、今日はヘルシンキでの寒さ対策の様子をレポートしてみたいと思います。

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雪の夜 - 家の近くから

ヘルシンキに来る前はどんだけ寒いのかと、かなりビクビクしておりました。がしかし、実際に来て冬を過ごしている現在、思ったほど寒くはないなと感じております。アングラ時代にいたボストンの方がよっぽど寒かった気がします。数週間前はヘルシンキも-20℃代まで下がってましたが、今週にいたっては0℃あたりをウロチョロ。本記事を書いている今日もプラスの温度まで上がるようです。

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今週はそこまで寒くはない

ただ、寒さに対応できている理由はいくつかありそうなのでまとめてみました。

ちゃんとした装備を持ってきた

こちらで聞いた言い伝え(?)の一つに「悪い天気はない。悪いのは装備だ」というものがあります。-20℃でもちゃんとして服を持っていれば寒くはないのです。僕は日本からかなりの防寒グッズを持ってきており、それらが重宝しているといえます。

ヒートテック

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重宝している上下+靴下ヒートテック

僕が普段一番下に着ているのはユニクロの「極暖ヒートテック」です。ズボンの下はステテコタイプのものを履いているので、ジーンズでも寒くありません。靴下もヒートテックタイプです。 

ネックウォーマー

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ネックウォーマー

去年のクリスマス休暇で日本に一時帰国した際、ネックウォーマーを購入しました。蔵王のお土産屋さんで日本柄っぽいのがあったので購入。片方の端が絞れるタイプで、帽子としても機能します。特に空気が冷たい日は鼻まで上げて顔を半分隠すといい感じです。

厚手の手袋

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厚手の手袋

これは古いものですが、かなり厚手のものでとても暖かいです。手が寒いかどうかで体全体の調子も決まるので、厚手の手袋はマストですね。 

耳あて

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耳あて

寒いと耳がどうしてもちぎれそうになって痛いですが、帽子を被ってしまうと髪の毛が崩壊する僕にはこちらの耳あてがナイスな商品です。折りたためる仕様になっており、これ一個で頭部の暖かさを確保できます。

雪用(防水)のブーツ

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雪用のブーツ

雪が降るとやはり必要になるのはそれに耐えられるブーツですね。このブーツは東京で購入したものですが、登山用としてアウトドア用品店で購入したもので、防水性はかなり高いです。

本当の敵は凍結した地面

さて、今のところ寒さには万全なる装備で対応できているものの、本当の敵は凍結した地面であるということを先月、身を以て学ばされました。ある日凍った地面の上を歩いていて見事に転倒。全治2日間の大怪我を追いました。

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全治2日間の怪我 - 手編

 

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全治2日間の怪我 - 足編

(ウソです。ただの擦り傷でした。)

しかし、町中のどこも地面が凍っているのは事実であり、歩くのは非常に危険です。アールト大学のキャンパスでも、僕が勝手にDeath Valley (=死の谷と呼んでいる、ちょっとした坂みたいになっている道でも7回ほど転びそうになりました。

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アールト大学の死の谷。これを横切らないと奥の建物に辿り着けない。

滑り止めグッズ

チームメイトに相談したところ「icebugs」という、鉄のスパイクのついた靴をオススメしてもらいました。凍った地面の上でもランニングできるシューズも売っているようです。僕は友人に付け外しが可能な滑り止めをもらい、それをブーツに取り付けて履いています。

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付け外しが可能な滑り止めを装着

フィンランドの自然の美しさが寒さを和らげてくれる

寒さを和らげてくれるのがフィンランドの豊かな、美しい自然だとも感じているこの頃。こういう景色がすぐ身近に存在し、この中で暮らせているから寒さを楽しめているのかもしれませんね。

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家の近くの風景

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大雪が降った夜にヘルシンキ大聖堂にて

これを書いている横でフィンランド人の友人が「本当の冬はこれからだよ」と言ってきているのですが、どうなんでしょうか!

Industry Project Week 1~5

新年の目標の一つに「2週間に一度はブログを更新する」というのを掲げたものの、早速、前回更新日より30日間空いておりました。家族や、はてなブログ運営からも「ぼちぼち書け!」と催促メールが届く始末。時がすぎるのが本当に速くなりましたね。(問題転嫁)

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午前7時アールト大学キャンパスから見えた美しい朝焼け

さて今学期のメインであるIndustry Projectが始まって既に5週目に突入。今のところの所感としては「うまくいっている」です。何がうまくいっているのか、 に対しては2つの観点から見ることができます。

  1. チームワーク
  2. クライアント/プロジェクトの進行

Industry Projectでは事前にコントロールできない重要なファクターが2つあり、上記の両方ともIDBM運営側が決めるので、運良く相性が合うかどうかの問題です。チーム編成に関してはラッキーなことに仲が良く、信頼し合えるクラスメート達でした(これはかなり重要だと思っていて、良いチームメートで編成されたことに関しては感謝)。クライアント/プロジェクトも我々の調査を強くサポートしてくれています。始めは提示された課題のオープンさに戸惑いもあったものの、解釈の幅を広げて調査できていることはむしろ良いことだと感じています。

チームビルディングのために何をしているか

良いチームメイトに恵まれたものの、チームがさらに協力でき、且つ、楽しく活動を継続できるために以下にことを意識してアクティブに続けています。

  • ミーティング後には必ずチーム写真を撮影(9割の確率で実施できている)
  • 課外でも集まってアクティビティを実施(週末に皆でブランチに行ったり、アイススケート会を企画して皆で楽しみました)

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Tapiolaにてチームアクティビティのアイススケート

僕らのチームのアドバイザーによると、Industry Projectでは毎年1つのチームは崩壊するらしいです(チームメイト同士がうまくいかない、というようなこと)。所詮学校のプロジェクトとはいえ、真剣に取り組みたい自分としてはかなりプロアクティブにチームビルディングをしています。今のところ良い結果となっています(そう信じたい)。

Industry Projectのラーニング

前回は書き忘れてしまいましたが、このIndustry Projectを通して学べることは7つあると、配布されたハンドブックには記載されております。

  1. 複雑で曖昧な問題に対し、新しいビジネスチャンスを探り創造する
  2. 製品/サービス/ビジネスの開発にデザイン思考のプロセスとツールを適用する
  3. 現実的な問題をクリエイティブに解決する
  4. プロジェクトの文脈で調査とデザインを実施する
  5. 自分の専門分野の専門知識を、領域を横断して発揮する
  6. 多文化/多国籍のチーム内でリーダーシップを発揮して行動する
  7. 運用レベル/戦略レベルにおいて、言葉と視覚表現を用いてアイデアや概念をチーム内外に伝達する 

僕としては3番目と5番目が一番強く学べているイメージです。

Week 1~5の構成

プロジェクト進行とは並行し、1週間に1度はレクチャーもあります。始めの5週間の構成は以下のような感じでした。

  • 1週目 - チーム発表
  • 2週目 - プロジェクト発表(クライアントと初の顔合わせ)
  • 3週目 - ハイパフォーマンスチーム
  • 4週目 - 調査の手段とデータ解析について
  • 5週目 - データの視覚化について

クライアントが実現/実験したいことも様々なので、上記のスケジュールが全てのケースに最適化どうかは別とし、前半をきっちり「課題定義 → 調査 → 念慮」というくくりにできるのはいいことだと感じます。企業で働いているとどうしてもこの前半部分が省かれ、いきなり手段の具現化に走りがちなので、スクールプロジェクトでリサーチに時間をかけれるメリットは大きいですね。

POV Workshop

Week 5である今週はPoint of View Workshopというものがありました。これがプロジェクト進行の上でとても役に立ったのでこれをメモしておきたいと思います。NDC NetworksのMarkus Ahonen氏を招き、彼がファシリテーターとしてクライアント、チームの両方が一緒にブレスト/作業を通して課題定義するというものでした。僕らのチームも解釈の幅がとても広い課題を狭めてくれました。

ワークショップではCPS (=Creative Problem Solving) という、デザイン思考と似ているメソッドを利用しました。具体的には以下のように行いました:

  •  クライアント事業のコンテクストにおいて「こうだったらいいな」をポストイットに書きまくる → 100近く出た
  • ホワイトボードに全て貼り、各人が重要だと思うものに投票
  • 投票をベースに課題を絞っていく(ここでかなり議論ができた)
  • 1番重要なものに絞り込めたら、それに関して知っている事実をまたポストイットに書き出していく
  • それをまた全てホワイトボードに貼る
  • テーマ/カテゴリーが同じものでクラスターに分ける
  • そしてそのテーマにおいて重要なものをクライアントが選定
  • 選定したものが一番解決したい課題である、という結論

クライアントの中でもモヤモヤしていた課題やテーマを全て洗い出し、皆で俯瞰して見るという行為が有意義だったのだと思います。今まで積み上げてきたリサーチ結果と照らし合わせ、さらにどういった調査ができるか楽しみです。

後日、ワークショップについてLinkedinでMarkus氏が投稿してくれていたのを発見。ミーティング後に必ず写真を撮影しているからか、僕らのチームも写真を利用してくれていました。

 

Embedded from Markus Ahonen's Public Post via Linkedin

新しい所を見る:2月編

先々週末はリトアニアに2泊で行きました。飛行機でヴィリニュスに到着し、その足でバスでカウナスまで移動。杉原千畝記念館も見学できました。冬の間は平日11:00-15:00までしか営業してないことに直前で気づき、着陸直後(金曜のお昼)に焦っていきました。杉原氏は在カウナス領事代理として戦時中ユダヤ人にビザを発行し6,000人もの命を救った人。どの時代においても「組織に所属しても自分で考えて行動する」ことの大切さと偉大さを実感できました。

ちなみに僕が見学していた時は僕のほか、日本人の男性二人しかいませんでした。

ヴィリニュスの市街もとても綺麗で、ヘルシンキでの物価の高さに参っていた自分としてはコーラがスーパーで0.7€で買えたことに軽く感動しました。

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リトアニア見物

IDBM Industry Project 2019 始動

今月より、楽しみにしていたIDBMのメインの見所であるIndustry Projectが開始されました。先週、今週とチームフォーメーションとクライアント発表があり、キックオフミーティングも済ませ、早速調査フェーズが始まりました。

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Industry Projectとは

このプロジェクトはmultidicsiplinaryなチームでリアルクライアントと共に半年間プロジェクトに携わるものです。獲得単位数は15ECTSで、必要投資時間数は約400時間となっています。クライアントは毎年違ったりしますが、大企業、中小企業、NGOなど、様々な業種業態のクライアントが提携してくれていて、毎年双方にとって意義のあるプロジェクトです。今年はこのIndustry Projectが始まって以来、25周年だそうです。

クライアント

現時点では大声では言えない(多分)と思うのですが、僕のチームはフィンランド国内の老舗のテキスタイル企業が割り当てられました。この企業は去年も参加されていたようです。昨年までのプロジェクトはこちらで公開されています。今年も全て終わったらこのようにプロジェクト概要やチーム写真が公開されると思うので、公開できる範囲で随時更新していきたいと思います。クライアントに関しては「この企業がいい!」みたいな希望は出せず、事前の簡易アンケート(バックグランドや専門性)の結果を元にプログラム側が割り振ります。

チーム

チームも自分達で選ぶことはできず、プログラム側が細心の注意を払って構成してくれます。僕のチームはエンジニア、ビジネスパーソン、デザイナーの計5人で構成され、バランスの取れたチームができあがったと思います。

事前課題

Industry Projectではデザイン思考を活用しての進め方が推奨されています。始まる前にはIDEOケーススタディの読み込みやDeloitteのBusiness Chemistryの人格診断テストの受診、そして最後にはデザイン思考のマインドマップを作成せよ、というような課題がありました。

個人的にはマインドマップは本当にしっかり考えて組み込まないと意味がないと思っていてあまり好きではないです。理由は、頭の中でフワフワしているものをなんとなく紙に書き出して線で繋げてみたりするとなんとなくそれっぽい図が出来上がってしまうからです。なので今回作成したマインドマップでは中心にDesign Thinkingという単語を据え置き、そこから派生する線の全てに動詞を紐付け、それぞれの脈がdefinition baseで文章として意味をなすように構成しました。全てのdefinitionはIDEOのCEOティムブラウンの著書「デザイン思考が世界を変える」から引っ張りました。

IDBM, design thinking mind map

このIndustry Projectでデザイン思考のメソッドが綺麗に活用できるかどうかは微妙ですが、ポイントを抑えた上でideationとiterationで良い課題定義と解決策提示ができたら良い感じだと考えます。

個人的にポイントだと思ってること

  • 課題の定義 → 問いがかなりオープンなのでこれが一番難しそう
  • 最終アウトプットの定義 → 課題を決めることができれば...
  • チームが"空中分解"しないようプロマネの徹底 → これマジで一番大事
  • リサーチトリップの場所決定 → せっかくなので楽しくて学びのあるところに行きたい

まとめ

IDBMの中で一番楽しみにしていたプロジェクト。精一杯楽しみつつ意味のある活動をしていきたいと思います。 

2018年の振り返りと2019年

あけましておめでとうございます。本年もよろしくお願いします。

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日本で約2週間のクリスマス休暇を過ごしたあと、ヘルシンキに帰ってきて早速雪と氷と泥に迎えられました。でも気持ちのいい寒さです。綺麗な空気をまた楽しんでいます。街中の木々は雪にデコレーションされる景色も見ていて心地よいものです。 

2018年の振り返り

2018年はビジネス、エンジニアリング、デザインを学べる大学院プログラムに留学するという大きい目標がありました。そしてアールト大学IDBMへの留学を決め、実際にフィンランドに引っ越し、大学院生活を始めるという新しいスタートを切れました。たくさんの人のご支援があってこそ。この場を借りて御礼申し上げます。今年もがんばりたいと思います。

目標をたてることと同じくらい振り返りは大事。大目標とは別に小さいサブ目標もいくつかあったので、それぞれの達成度合いを見ていきたいと思います。

達成できたこと

  • 大学院への留学を始める
  • 1学期目の必須科目を全て修了する
  • 最低でも5つのイベント(旅、セミナー、ハッカソン、など)に参加する→(Tallinn Trip, DASH Hackathon, Ornamo Design Business Date, Columbia Road Company Visit, Vappu Jackening, IDBM X'mas Party, SLUSH Volunteer, など盛りだくさん参加できた)
  • こちらでの生活と学びをブログに残す(なんとか続いている)
  • たくさんの人と知り合う(知り合えた) 

達成できなかったこと

所感

コンフォートゾーンを抜け出し、初めての環境で自分にとっては新しい領域の勉強をするということはチャレンジングなこと。がしかし、すぐに心地良い場所を見つけだしたくなる気持ちはどこにいても変わらないような気がします。「週末となれば家で一休みを」という願望がでてきてしまい、閉じこもりがち。そのような願望をこらえ、今年はさらにチャレンジする年にしたいと思います。簡単すぎるコースやタスクは極力排除し、いつでも背伸びをしているイメージを持たないといけませんね。新しい物ももっと沢山見ないといけません。気をつけます。 

2019年の目標 

2018年の振り返りを踏まえ、今年の目標は以下にしてみたいと思います。

  • IDBMのインダストリープロジェクトで納得のいく成果を出し、新しい学びを得る
  • ビジネス、デザイン、エンジニアリングの融合の答えを自らの経験と学びをもって定義し語れるようになる
  • 修士課程としては来年度になりますが、意味のある修士論文の題目を決める
  • ブログを引き続き更新する(2週に1度のペースで、合計24個のエントリーを書く。小さなことでもまとめてアウトプット記録するの大事)
  • 時間が許す限り新しい国や街にいき、探検する(行ったことのない国/地域へ12箇所以上行く - 1ヶ月に一箇所のペース)
  • HSK5級(中国語検定)の合格(中国語は喋れるのでさらに上級レベルを)
  • YKI初級(フィン語検定)の合格(ここで日常の生活くらいはできるように)
  • デザイン活動を続ける
  • 何か新しい提案や活動があればyesという

 

今日は早速、アールト大学での中国語のコース「Chinese for Professional Needs 4」の授業を受けてきました。が、内容が簡単すぎたのでソッコーでドロップ。代わりにヘルシンキ大学の孔子学院のHSK5級向けのコース「Advanced Chinese 2」に登録しました。こちらの授業はチャレンジグだと期待しています。

新しい国/地域を見る、という観点ではフィンランドに帰ってきて早々、先週末はチェコプラハに行きました。カレル橋、プラハ城、旧市街、ミュシャ美術館、少しマニアックだけどドヴォルザーク博物館、などたくさん見て回れました。写真映えする景色を見つつ、結構あやふやにしていた近代チェコの歴史を振り返る良い機会となりました。

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Business Model Innovation

今週の主題はBusiness Model Innovation (=ビジネスモデルの革新)に関するものでした。目的はビジネスモデルの変革とそれに必要なものを理解し、独創的な例を特定して自ら設計を可能にするようになることでした。そこまでできるかは別とし、このモジュールも「デザイン × ビジネス × エンジニアリング」を追求するデザイナーには有益だったので記録しておきたいと思います。

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(画像:この時期に行ったコペンハーゲンにて)

Business Model Innovationとは

Open Innovation 等の著者である Henry Chesbroughは、ビジネスモデルの革新が何であるか、そしてそれを達成するためには何が必要であるかを説明しています。彼はビジネスモデルには6つのパラメータがあり、それぞれが革新が起こる可能性を保有する分野であることを指摘しています:

  1. Value Propostion(価値提案)
  2. Target Market(ターゲット市場)
  3. Value Chain(バリューチェーン
  4. Revenue Mechanism(収益構造)
  5. Value Network(バリューネットワーク)
  6. Competitive Strategy(競争戦略)

ビジネスモデルの革新という観点では、企業にはそれぞれ「ステージ」が存在し、最下位のステージには差別化ができていない状態が存在し、最上位のステージには適応可能なプラットフォームを持っている状態が存在すると、彼は主張しています。この最上位ステージでは主要サプライヤーと顧客はビジネスパートナーとなり、技術的リスクとビジネスリスクの両方を共有することができる状態になります。これは、前週の学習テーマであったプラットフォームビジネスモデルに近い形ですね。

Business Model Innovation のチャレンジ

Chesbroughの教えから学べる重要なポイントは、企業がビジネスモデルを改善することは非常に困難であるということです。ほとんどの一般的なマネージャーは既存のビジネスモデルに執着し、そのモデルの制約内でビジネスを成長させることに集中する、と彼は言っています。変革に必要なのは3つ:企業のトップレイヤーの関与と、既存のビジネスとの競合を防ぐための実験的と、それを組織内部で保護し邁進する努力、です。

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(画像:この時期に行ったコペンハーゲンにて)

Raphael Amit と Christoph Zottの2人は、ビジネスモデルの革新の重要性についてChesbroughと同様の視点を持っていますが、異なる手法を用いて論じています。ビジネスモデルの成功事例してiPhone + iTunesのエコシステムを見てみましょう。ソフトウェアの直感的な操作性や端末のデザインの美しさ、曲を購入してプレイするエンジニアリングの仕組みの簡単さもさることながら、そのビジネスモデルの鋭さに目が行くはず。サービスや製品そのものではなくより大きな価値を創造し循環する仕組みがビジネスモデルの革新であることがわかります。逆にHTCの販売する端末にはそれが欠けています。HTCのビジネスモデルでは、最先端のスマートフォンタブレットの販売によってのみ利益を得ることができますが、それらを使ってさらなる利益を得て、循環することはできません。

Amit と Zottは新しいビジネスモデルを立ち上げる方法についての深い洞察と具体的な手順を示してくれています。「革新を具現化するにはまず木ではなく森を見ろ。詳細を最適化する前に全体的なデザインをしろ」という非常に綺麗なフレーズで結論づけられています。これは言う方が圧倒的に簡単です。

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(画像:この時期に行ったコペンハーゲンにて)

実際に企業では「内部政治」が必ず起きると思っています。そしてこれがビジネスモデル革新を阻害する障壁となります。マネージャーは、現在のビジネスモデルを維持することを主張し、それに反対する革新勢力に権限がない場合などが想像できます。多くの場合、人々は単に疲れてしまいそこで革新が止まってしまいます。これは上下関係を尊重する日本の会社ではより顕著に現れるのではないかと考えます。日本の企業でビジネスモデルの革新(変化の部分)が何らかの形で成功した場合、一部の人々が内部的に本当に良い仕事をしたんだと考えてしまいますね。 

フィンランドのS Group は Business Model Innovation の事例

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(画像:この時期に行われたIDBMのクリスマスパーティー会場の様子)

ビジネスモデルのコンテキストにおける実際の革新を発見するという点で、より大きな学習があったのが木曜日のワークショップでした。5人ほどの僕達のチームはフィンランドの大企業であるS Groupについて調べてみました。S Groupは複数のブランドを傘下に持つ単なる統合体のことだと思ってましたが、間違っていました。S Groupは会員となる顧客が会社の所有者になるCo-op System (=生活協同システム)を採用しています。調査を進め、S Group のコープシステムが実は効果のあるビジネスモデルなのではないかとも思えてきました。S Groupはビジネスを彼等のエコシステム(スーパーマーケット、ホテル、銀行、サービス)内の複数の方向に流し続けるために、分数型所有権、顧客ロイヤリティおよびロックインモデルを適用していることがわかりました。例えば、傘下のスーパーであるS Marketで商品を購入することで、S Group 内のさまざまなサービスに利用できます。これ自体はかなり簡単な仕組みです - 楽天とAlibabaも同じロジックを持っていますが、消費者は企業を所有していません。これは、S Group がどのように異なるかのコアとなっています。顧客がビジネス自体に含めることにより、バリューネットワークとエコシステムを強力なものに革新します。

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(画像:この時期に行われたクラスメートのコンサート-石の教会にて)

S Group の仕組みは労働者の共同所有によく似ています。19世紀に食料品が少なく、物資も少ない状態から生み出された協同組合のシステムでは、商品を共同購入して所有者に配布することで人々はより密接なコミュニティを作り、より長く生き残ることができました。本質的に、S Group はこのシステムを維持し現代のビジネスモデルのコンテキストに応用しているとも言えます。そしてこれは真似が難しい革新的なビジネスモデルなのではないでしょうか。もし顧客がビジネスの一部を所有している場合、他の店舗から購入することはほぼあり得ないと思います。 

結論として、S Groupの革新的なビジネスモデルには大きな学習がありました。Co-opと(コープ)いう言葉は日本では野菜の宅配等、地域に根ざした形のビジネスのイメージがありました。社会主義的な背景があり、それを現在のビジネスモデルに応用できた例を知れたのは新しかったですが、コープシステムのさらに深い研究が必要だとも感じました。

SLUSH HELSINKI 2018 - Sustainability Teamのボランティアに参加

英語で「雪と水がまざったぐちゃぐちゃなアレ」的な意味をもつslush。本当に雪泥まみれのヘルシンキの12月4日と5日で、スタートアップ祭り-SLUSH Helsinki 2018が開催されました。フィンランドに留学している方にとって学業以外でたくさんの学びがあると思いますが、このイベントもその1つだと思います。僕も楽しみにしていたイベントでした。折角の学生という有限な立場も活かせるので、ボランティアとしてこのイベントに参加することにしました。

IDBM

ボランティアとして参加することのメリットはいくつかあります:

  • イベント本体に無料で入れる(一般だと800ユーロ/学生は100ユーロくらい)
  • 舞台裏を観れる
  • Afterpartyも無料で入れる
  • 履歴書に書ける(職務経験がまだない学生にとっては大事みたい)
  • 色々ネットワーキングができる

僕の参加したボランティアチームはSustainability Teamといって、イベントをできる限り環境に優しい形で行えるように動くことを目的としたチームです。ボランティアとして応募できるカテゴリーは色々あるのですが、最近Sustainabilityに対するトピックが目に入りまくるのもあり、個人的な興味もあったので、応募フォームでそれにチェックをいれました。SLUSHのイベントそのものについては色々なレポートがあると思うので今回はあまり書かれてなさそうな、このSustainability Team に参加した体験談を残したいと思います。

 全ボランティアの集合写真(from @SlushHQ on IG):

Sustainability at SLUSH

IDBM

SLUSH はEcoCompassという証明書を保有しているイベントです。このEcoCompassというのは環境へのfootprintを最小限に抑えるコミットメントをする組織にのみに与えられる証明書です。これは以下の項目に該当します:

このcertificateはSLUSHが大事にするバリューを効率よく伝えていると思います。実際に以下のようなことが厳密に行われました:

  • イベントでは水道水しか提供しない(ペットボトル飲料はほぼ買えない)
  • 公式販売される衣類にはリサイクルされた素材を使用Pure Wasteというブランド)
  • クロークルームの引き換えタグは古いカーペットを切って再利用されたもの
  • フライヤー、ステッカー、その他販促物の配布は全て厳禁!出店企業からのお土産は一切ありませんでした。無料で広告させないということと、無駄なゴミを増やさないという信念のもと(実際、見かけた際は全て没収してリサイクルビンにいれるように指導があった)- これに関してはかなり守られていた感じでした。
  • ケータリングで使用されるお皿やフォークナイフはbiodegradableを使用
  • ベンダーにはveganのオプションを必ず用意させる

などなど

2008年の第一回のSLUSHではこのような取り組みはなかったそうです。2年目にたった数人での取り組みが始められ、翌年、翌々年と、回数を重ねるにつれてこのSustainability Teamの規模も活動範囲も責任も大きくなってきたのだとか。今年のSustainability Teamは総勢112人、8グループ(各グループ約15名)と、過去最大のようです。

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リサイクルされたゴミのその後

SLUSHで回収されたリサイクルゴミはその後どのように処理されるのか。公式パートナーとしてLassila & Tikanojaというサーキュラーエコノミー専門の会社と組んで行われます。イベントで分別→資源としてL&Tが個別に再利用される様にそれぞれの施設へ運搬。という流れになります。

Organic Waste
全てのorganic wasteはLABIOという施設へ運搬されます。フィンランドで一番大きいリファイニングプラント。処理されたゴミは家庭/業務用に使えるバイオガスを生産。コンポストプラントも保有しており、生ゴミから作られたコンポストは農業にも使用されます。

Incinerable Waste
このカテゴリーのゴミはVantaa地区にあるエネルギー施設に送られ、地区の熱源となるために使用されます。

Bottles & Cans
ここでいうボトル、はペットボトルのこと。空き缶とペットボトルはそれぞれ個別の袋に分けられます。その後、Suomen Palautuspakkaus Oy(PALPA)という、パッケージのリサイクル業者に送られます。全てそのまま新しい缶やペットボトルを作る資源になります。

Paper & Cardboard
紙や段ボールはL&TのKerava施設に送られ、トイレットペーパーや再生紙に利用されます。

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Sustainability Teamに入るまで

SLUSHのボランティアは基本、年齢、性別、国籍、関わらず、誰でもできます。ボランティアは学生が多かった印象です。しようと思ったらまずしなければいけないのが応募フォームの記入。とはいっても基本的な情報を埋めて、どのボランティアチームに参加したいかにチェックをいれて送信。これが確か9月か10月頃にやりました。数週間後、Sustainabilityのグループリーダーから面談したいとの連絡がありました。(グループリーダーは集計された応募者の中から選び、面談に誘う)この1on1の面談はどのボランティアグループに入るにも必要になります。面談を通して良さそうだったら多分正式に"採用"。10月, 11月では数回ほどトレーニングがありました。チームメートとも事前に会える機会になります。 

イベントでの実際の活動

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前述の通り、Sustainability Teamの中でも僕等のチームはAfter Partyが担当シフトでした。このAfter Party というのは2日目の夜10PM〜翌朝4AMまで、同会場で行われるパーティーです。本ちゃんイベントの2日間は無料で自由に見物できるのが1番のメリットだったと思います。僕も3つのステージを駆け回って講演を聞きまくりました。

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僕らのチームは20:30に現場に集合。軽い打ち合わせのあと、各自持ち場へ。会場のレイアウトとゴミ収集所のあり場所を確認し、ローテーションを確認。僕の持ち場はメインステージの脇のバーのすぐ隣。Jillionaireという有名DJがパフォームする一番人気のステージ。音楽を脇で聞きながら、客がちゃんと分別してゴミを捨てられるように、ゴミ箱のフタを開けるのが仕事です。ここらへんは特に難しくもない単純作業。一番の気をつけポイントは紙コップとプラスチックコップ。

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お客さんも一番混乱するのが、この透明プラスチックコップがincinerableなのかbiodegradableなのか。正解は後者です。このコップがbiodegradeable wasteにちゃんとソートされるように細心の注意をする必要がありました。

ゴミ収集ステーション自体はこんな感じ。

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分別のカテゴリーは:

  • incinerable
  • biodegradable
  • bottles and cans
  • glass and metals
  • paper and cardboard

特に大変なこともなく、主目的である分別の確認もでき、ちゃんと分別お客さんにも満足いくゴミ捨てサービスができたと勝手に思っています。

まとめ

  • イベントでの環境に対する意識が半端なく高くて素晴らしい
  • リサイクルのためだけにものすごいエネルギーが注がれている
  • お祭りとしては楽しく、真面目に周れば得るものはたくさんある

ちなみに

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Slushそのもののイベントはすごかったものの、去年の写真を見ている限り今年はそこまで派手じゃなかったという印象でした。なので少し残念!去年はレーザーショーがものすごく、登壇するスピーカーもすごかったそうです(Al Goreとか色々)。正直なところ、ショーとしてのクオリティは去年に比べてステップダウンだったのかと感じました。ですが来年も参加するか?と聞かれたら迷いなく是非したいと思います。

Business Model Design : プラットフォームビジネス

デザイナー出身の僕が「デザインとビジネス」というテーマを追求するにあたって、今のところ一番学びのある授業がこの Business Model Design という授業でした。はじめての体系的な「ビジネス側」の授業になるので、授業内外での時間をかなり有効的に活用できました。経営やビジネスを学んできた人にとっては既知の内容がほとんどですが、デザイナーがビジネスを学ぶ切り口としてはとてもわかりやすく(難しすぎず簡単すぎず)何よりも面白い内容に仕立てられていると思います。デザイン出身でIDBMに留学される方にはオススメできる授業です。

IDBM

Business Model Design の授業概要 

この授業の目的は1つ:「ビジネスモデルとは何なのかを理解し、既存のビジネスを客観的に分析でき、最終的には自分でも新しいビジネスモデルを創造できるようになること」になります。教授が機知に富んでいるのと、シラバスがしっかり組まれているので、学習効率が高いです。読み物とレクチャーから学んだことをレポートにまとめるLearning Diaryも毎週提出が求められますが、学んだことを文章にまとめるという作業は頭の整理にものすごく役に立つので、いいアプローチですね。ポイントは読んだことを単にまとめるのではなく、自分の中で消化してオリジナリティある思考をはきだすことです。

授業のモジュール

授業のモジュールは以下の通り:

1週目:Business model as a concept
2週目:Value creation and capture through business model design
3週目:Platform Business Models
4週目:Business Model Innovation
5週目:Trending topics in the domain – the state-of-the art in business ecosystems and service business
6週目:なし。「Slushに参加しろ!」

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プラットフォームビジネス

1週目のBusiness model as a concept、と、2週目のCustomer Value Propositionはまあ普通に社会人やって学べたことなので記事としては割愛。まず個人的に面白かった3週目のPlatform Business Modelsについて書きます。濃い内容だったので若干長めの記事になりました。

プラットフォームビジネスとは

プラットフォームビジネスとは何なのか、からまず入ります。その言葉を聞いて思い浮かぶのはUberAirbnbiOSGoogle Playといった「提供する側と使う側を繋ぎ合わせる土台」です。従来のビジネスモデルと比べるとその違いがはっきりします。上流から下流に向かって生産活動が起こり、一方通行的に消費者の手に価値が渡るのがtraditional business。それに対しプラットフォームモデルではtraditional型のカスタマーバリューへのフォーカスに加え、エコシステムバリューへの配慮も求められます。ユーザーがその土台を使ってちゃんと求めるものに出会えるのか?といったような課題への対処です。最近はプラットフォーム型のビジネスをデザインする方向に世界がシフトしつつあるようです。

IDBM

プラットフォームに存在する4つのカテゴリー

プラットフォーム型ビジネスでも大きく4つにサブカテゴリーが存在します:

  1. Modular technology platforms
  2. Supply chain integration systems
  3. Multi-sided markets
  4. Technology ecosystems

1番のModular technology platformsは例えば自動車の部品を共通化するようなもの(多くの自動車メーカーが採用)で、2番のSupply chain integration systemsは生産から流通までを最適化・共通化するもの(Walmartの例が良いケースです)です。これらは今までにもさんざん実施されてきていたことですね。近年のデジタルのおけるプラットフォームビジネスは主に3番と4番のモデルです。UberAirbnbは3番のMulti-sided marketsになり、iOSAndroidは4番のTech ecosystemに入ります。

プラットフォームビジネスが持つ3つのバリュー

上記の4つのプラットフォームのどれを切り取っても、以下の3つのバリューが提供されていることがわかります:

  1. Community
  2. Technology Infrastructure
  3. Data

Communityはそのプラットフォームに関わるユーザー自身が相互に交流できる「場所」のこと。facebookはユーザーが思いを発信し、繋がりを作る場所です。

Technology Infrastructureは文字通り技術的な基盤。Youtubeはユーザーがビデオをアップする技術基盤を提供します。

Dataはユーザーがそのプラットフォーム上に存在する情報によって得られる利益の元。ユーザーやコンテンツがデータによって利益を享受できる仕組みがプラットフォームに存在します。

どんなサービスも上記のバリューを複数もつことが可能で、多ければそれだけ多くの価値を提供でき、多くのユーザーを長く巻き込むことができることを意味します。FAANG系のプラットフォーマー企業は全て揃ってるのがわかります。 

プラットフォームビジネスを支える3つのロジック

理論的には全てがうまくいきそうなプラットフォーム型のビジネスですが、これが機能するには以下の3つの要素がないと成り立ちません:

  1. Connecting Actors
  2. Sharing Resources
  3. Integrating Systems

Connecting Actorsは、文字通り、Actor(ユーザー)自身がプラットフォームのノードとなり、お互いに連携し合うことを指します。LinkedinやTinderがこれの代表です。

Sharing ResourcesはAirbnbBitcoinのように、ある一定のリスクをリワード制度によって担保する仕組みです。Airbnbでは「見知らぬ他人」を泊めたりするのにコミュニティからのその人の評判が大事になります。

Integrating SystemsはクレジットカードやUberのようにトランザクションコストを最適化するものです。

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プラットフォーム型の最近のトレンド

2,3年前まではこのプラットフォーム型はかなり熱く語られていましたが、最近は冷めた視線も多いです。Y Combinatorという米国の企業塾において、およそ3割の会社が「プラットフォームを作る..」と言っているそうです。メンターのPaul Grahamはこれに対し、プラットフォームという言葉を使わずにできそうかどうか考えよう、と提唱しています。

プラットフォームは進化し続ける組織である、という見方

講義で使用したテキストの一つにAnnabelle Gawerという人の記事がありました。かなりアカデミックな論文ですが、プラットフォームビジネスを「進化し続ける組織」であるという見方をしているところに個人的な発見がありました。要点をまとめると以下のような感じになります。

プラットフォームビジネスは経済的な側面と技術的な側面の2つが存在する。がしかし、プラットフォームを組織的な観点から分析すると面白い光景が浮かび上がる。一般的にユーザーはコンテンツを消費する立場だと思われるが、同時にプラットフォームにコンテンツを提供する「提供するサイド」としてもとても重要な役割を果たす。GoogleFacebookではユーザーはとっても重要なコンテンツ提供者である。時にユーザーは、プラットフォーム自体の供給(およびそれ以上の革新)に(一般的には未払いの)貢献者の役割を果たす。

彼女のポイントは、この時代においては誰もがサプライヤーと消費者の両方の役割を果たし、さらにその役割の組み合わせ自体も急速に変化し続けるというところにあります。このセオリーは、しばしば、イノベーションを生み出すのはユーザーであり、プロバイダーではないことであるという分析もできます(僕が前職で提供していた法人向けモバイルクラウドもユーザー企業側に使い方を委ねていたのを思い出しました)。Twitterもこれの良い事例になります。日本人が金曜ロードショーバルス祭で熱狂してサーバー落とすことを当初、誰が想像していたでしょうか。もちろん観察を重ねてエコシステムは強化されていきましたが、最終的に行動を起こすのは個々のユーザーに任されているわけですね。そしてそれはものすごい勢いで姿を役割を変えます。そのため、プラットフォームは進化する組織と見なすことができるのです。 

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まとめ

  • プラットフォーム型ビジネスには4つのカテゴリーが存在する
  • そして3つの価値がある
  • プラットフォームを支えるのは3つのロジック
  • 進化し続ける組織という見方ができる

allbirdsのイノベーション - Corporate Entrepreneurship and Design

IDBMの2つ目の授業「Corporate Entrepreneurship and Design」 が終わり、あっという間に3週間がすぎていました。ブログの更新をかなり怠けてしまいましたが記憶がギリギリまだ残っているうちにこの授業の記録をしたいと思います。

Corporate Entrepreneurship and DesignはIDBMの必須科目の一つ。ゴールは企業においてデザイン/イノベーションのアプローチがどのように取られているかを客観的に分析して手法を学ぶ、といったところです。この記事の直前の「Gold&Greenへの訪問」もこの授業の一貫でした。レクチャーや読書に加え、1つの大きなプロジェクトが並行するのが特徴です。このプロジェクトでは「1つの大企業と1つのスタートアップ企業をデザイン観点で比較」するというもので、最後にレポート&そのプレゼンテーションをしておしまい、という流れになります。

講義では主にデザイン思考のアプローチを学ぶといったことが多かったです。自分としては特に新しい発見はありませんでしたが、エンジニアリングやビジネスサイドから参加しているクラスメート達の中には「初めて聞いた」という人もいたのが驚きでした。 

ケース:allbirds(オールバーズ)

この授業のプロジェクト部分も勿論チームベースで進みました。僕等のチームは比較のケースとしてallbirds(オールバーズ)というスタートアップとNikeを比較することにしました。Nikeは誰もが知っているグローバルなスポーツアパレル企業。対するallbirdsはシリコンバレー発祥の環境に優しい靴を製造するメーカーです。もともとはチームメートが提案したのですが、僕は初めて知りました。

プロジェクトはこの2つの企業を比較する形でしたが、今回の記事は自分的に新しい発見と学びがあったという点と、日本ではまだあまり知られてなさそうという点で、allbirdsに焦点をあててこの記事をまとめたいと思います。

allbirdsという企業

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画像:allbirds Presskitより 

allbirdsはシリコンバレー発の地球に優しい靴のメーカーで、創業者のTim Brownはニュージーランド出身の元プロサッカー選手。プロとして活動している中、無限に提供されるスポンサーからの靴に疑問を感じたそうです。「何故こんなに靴が必要なのか?履き心地が良くて地球にもっと優しい靴はないのか?」彼はサッカーを辞め、靴の生産へと旅立っていきました。

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画像:allbirds Presskitより(左がTim Brown、右はJoey Zwillinger)

環境に良い靴を作れないかと思った彼は、クラウドファンディングサイトkickstarterにアイデアを投稿。あっという間に大金が集まってしまいました。パニックに陥り、5日間でキャンペーンを閉鎖。「もしかしたらこれはいけるかも」と思った彼は、奥さんを通じてバイオエンジニアのJoey Zwillingerと知り合い、2人で靴を作り始めました。

サステナブルな靴:Wool

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画像:allbirds Presskitより

allbirdsの信念は「環境に優しく履き心地が最高」な靴を提供すること。全て環境に優しい素材を使用しています。彼らが最初に世に送り出した製品は「Wool(ウール)」と呼ばれる靴です。ウールはニュージーランドのメリノウールを使用(メリノは羊の一種です)。ニュージーランドにおける「羊:人間」の比率が「6:1」という事実を考えると、材料の選択はかなり意味がありますね。ウールを使用することで、従来の合成材料よりも約60%も低いエネルギーで生産が可能なようです。

靴紐はリサイクルされたペットボトルから抽出したポリエステルです。これは従来の靴紐よりもはるかにコストが高いのですが、allbirdsは躊躇することなく、このコストが彼らの信念を実現するために犠牲にできるものだと考えました。靴の中底にはトウゴマの油が使われ、靴が送られる箱の90%はリサイクルされた段ボールが使われます。

Woolのリリースの直後、シリコンバレーではブームになりました。履き心地がよく、環境に優しいという理由で多くのメディアにも取り上げられました。テック業界で働いている人にとってはちょっとした「制服」と化もしたそうです。

※僕自身も米国在住の家族を通じてゲット! 

ロゴなしの靴

履き心地や環境への配慮に加え、注目すべき点は全ての靴がロゴなしというところです。とあるインタビューで、Tim Brown氏は次のように述べています。「私たちがしていることはすべて単純です。ちょうどいい具合の"なにもなさ"をデザインしたいのです。イノベーションとは、時には物事を取り除くことなのです。」Nikeの靴が印象的なSwoosh(あのロゴ)で全てブランディングされている点を比較すると対照的ですね。足し算ではなく、引き算で物事を考える姿勢はアップル社のそれを連想させます。

「ノー」と言うこと

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画像:allbirds Presskitより

allbirdsは「ノー」と言うことに非常に熱心です。顧客とのダイレクトな関係性を担保するため、製品を卸販売することはありません。allbirdsの製品を購入するにはオンラインショップで購入するか、いくつかの直営店舗で買うしかありません(これを書いてる時点では多分米国に2店舗、イギリスに1店舗のはず)。また、靴の販売をするときは1つのデザインではなく、複数のラインを用意してリリースするのが普通のようです。がしかし、allbirdsはただ一つの製品(Wool)にフォーカスして靴をリリース(現在ではWoolに加え、Treeというユーカリの木の成分を活用した靴も出しています)。

戦略や方法がサステナビリティの価値観と合致しない場合、彼らは「ノー」と言うのをためらいません。 

マーケティング戦略

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画像:allbirds Presskitより

allbirdsは当初から、自分達が素晴らしい製品を持っていることを理解していました。広告にはお金をかけず、早い段階からソーシャルメディアと口コミを活用。最初にキャッチした人達はシリコンバレーのテックの人々でした。彼らがこのサステナブルな靴を履き、他の有名人が熱狂に気付き、最終的に全米で口コミで広がりました。僕自身allbirdsのことを散々リサーチしたにも関わらず、オンライン広告が一切ターゲティングされてこないのもかなり気持ちいいです。「良い製品は自ら広まる」という隠された考えがあるのだと思われます。

ソーシャルメディアの活用 

ほとんどの企業はソーシャルメディアを使用して、一方向なコミュニケーションをします。allbirdsはInstagram上では少し異なる角度のアプローチを持っています。彼らは顧客からのフィードバックのためにプラットフォームを利用していると、マーケティング担当は言っています。実際、純粋に顧客の反応に基づき30近い製品改善が行われました。下の図はレポートのために作成したものですが、ユーザーがするコメントのほぼ全てに対して返信していることがわかりますね。くだらないコメントにもちゃんと返信している!

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実際に履いてみて

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肝心の実際の履き心地ですが、本当に気持ちいいです。

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中はフカフカのウール。裸足で履くことに醍醐味があります。ちなみにこれはWool Runner といって、ランニング用の靴なのですが、いくつかのレビューの通り、中の素材的に足が滑る傾向があります。なのでガチなランナーには実は不向きです。ガチランナーは大人しくNikeのflyknitを買いましょう。

Extra

実はこの記事を書いている今日、allbirdsがハイトップのスニーカーをリリースするというニュースがTechcrunchで出てました。

techcrunch.com

ユニコーン企業としてこれからもイノベーティブな製品を出すallbirdsにさらに注目が集まりそうです。

まとめ:allbirdsのデザイン/イノベーションのアプローチ

  • 環境に優しく履き心地が最高、という信念が活動の第一基準
  • たくさんの種類の靴ではなく、限られたものにフォーカス
  • イノベーション = 足し算ではなく引き算
  • 顧客との対話をベースとして改善を重ねる
  • 勝手な想像 → がんばりすぎない姿勢(少なくともそう見える)がクールなんだと思う
  • 実際の履き心地は本当に気持ちいい!

フィンランド発・疑似肉で地球を救う!Gold&Greenへ訪問

IDBMの2つめの授業 Corporate Entrepreneurshipの2週目が終わろうとしています。

昨日はこの授業の一環で、麦を使った疑似肉(Pulled Oatsと言ってました)を製造する会社「Gold&Green」に訪問し、事業の内容やビジョンが心に残ったのでそのメモです。 

IDBM

疑似肉自体はそれほど新しくもなく、今までに大豆を使った物など色々ありますが、こちらの会社が製造しているのは素材が「麦」ということで注目を浴びています。

Gold&Green について

  • 2015年に創業
  • 創業者のマイヤはデザイナーでアールト大学のIDBM出身
  • 創業者がベジタリアンで肉の代替選択肢が少ないことに疑問をもち、スタート
  • 創業から3年で現在は50名ほどの社員に成長
  • 食料品大手のPauligから出資を受け、会社を51%保有
  • 製品は動物を使わない、保存料を使わない

↓画像は「Nyhtökaura」という製品。Gold&Greenのプレスキットより

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会社説明の担当の方の話

  • Sustainable Food (持続可能な食料品)というのは食料品そのものやパッケージの話だけではなく、ライフサイクルそのもののことを指す
  • 一番最初の製品出荷時はパレット1枚分の量しか製造できなかった
  • 出荷/販売と同時にフィンランド国内で大きなブームが起こった
  • 大豆を使った疑似肉は麦を使ったそれほど環境に良くはない
  • 大豆アレルギーの人もいるので麦のオプションを
  • 寒い北欧でも育つNordic Oatsを使用
  • 肉産業は政府からの助成金が出るが、疑似肉の企業には出ない
  • プロテインビジネスは国内でメガトレンド
  • 環境に優しい(動物を使わない)意識が高まっている
  • Gold&Greenは今までにないカテゴリーと市場を新たに創造することによって業界リーダーになれた

Gold&Greenが大切にしている4つのルール 

  1. Taste(味)いくら環境に優しいとはいっても味が悪ければ消費者は買ってくれない。味の良さには相当R&Dの力をいれている。 
  2. Usage(人との交わり)食料品と人が接触する"インターフェイス" - 既に人間になじみのあるものに仕立てる。
  3. Nutrition(栄養)麦という素材なので栄養価は高い。驚くべきことに肉と同等のタンパク質を引き出すことが可能。
  4. Access(アクセス)消費者が買いやすくするためにスーパーの「肉」と同じコーナーに陳列。

疑似肉で地球を救う

エントランスを入った奥の壁にも書かれているように「For us it matters」(私たちには関係ある)をいうビジョンをすごく重要視しているそうです。動物を使わないこと、ちゃんと栄養をとれて美味しい食料品を提供できること、で本当に地球を救うことに関心があることも担当者から聞けました。

↓画像は創業者とビジョンの壁。Gold&Greenのプレスキットより

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いきなりお題!国外へマーケティングせよ

ただの企業訪問で終わらないところがIDBMっぽいです。「せっかく国際色豊かな皆さんがいるのですから、この疑似肉パティー(ハンバーグみたいなもの)を貴方達の国でのマーケティング案を考えてください。5名で1チームを作って、さあどうぞ!」

担当の方からそんなアナウンスがあり、課題タイムに突入。近くにいた5名でチーム結成。「どこの国にマーケティングしよう?あ、君日本人だね。じゃあ日本にしよう!」ということで日本へどう持ち込むかブレスト開始。制限時間いっぱいの30分で仕上げました。 

出来上がって発表した内容は:

  • 日本ではそんなにビーガン指向や食の環境意識は高くない(けど伸びてるかも)
  • 日本人は味に繊細なので、美味しければまあいけるんじゃない?
  • 「Mugi-burg」という製品名(人々が具体的にイメージし易いように)
  • 日本はフィンランド文化が好き(ムーミンマリメッコ)なので、それをフロントにもってくれば注目されるかも

マーケ担当の方もその場の発表に聞く側として参加。「ムーミン肉 (Moomin-meat)にしよう、という社内ジョークもあるわ」とのフィードバックに一同騒然。

ムーミン肉...!

まとめ

  • Gold&Greenの事業、製品、ビジョンがとても良く分かり、素敵だった
  • これからの食の素材への関心の高さは世界を救うヒント
  • サステナビリティ」や「地球を救う」のようなキーワードに触れる機会が多いこの頃を再認識した 

現地の友人の話によると実際、Gold&Greenの疑似肉は売り切れが続出するほどポピュラーらしいです。次にスーパー立ち寄った際はこの製品や疑似肉を使った地球に優しい肉に注意して買い物をしたいところです。

IDBM Challenge 2018

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IDBM Challengeは、我々IDBM生がINTROの後に取る正式な最初のコースです。先週、3週間に渡るIDBM Challengeが無事終わりました。

IDBM Challenge の概要

今年はこのIDBM Challengeというコースが設けられてから3年目になります。常に改善しながらプログラム内容を書き換えるらしいので、1年目とはだいぶ違った内容だそうです。

 

今年はNordic Rebelsという、北欧エリアの高等教育を推し進める活動組織(フィンランドデンマーク)の一貫として実施されました。この組織も、この授業自体もMiikka J. Lehtonen氏がディレクションしています。Miikka氏は東大のi.schoolでも教えた経験があるそうです。

さて、次世代の教育をビジョンに掲げるNordic Rebelsですが、IDBM Challengeで組み込んだ教育理念の面白い所は、「多様性を主軸としたチームを組み、Wicked Problems(=困難な課題)に挑むプロジェクト型コース」である、ということです。

特徴としては、学習内容が学生によってバラバラで構わない、というところにもあります。年齢も専門性も国籍もバラバラな人たちが集まって、学びのアウトプットが一緒のはずがないという考えです。30代のデザイナーの僕と、20代のビジネス専攻の学生とでラーニングが違って当たり前。多様なバックグラウンドの人達が集まるのだから、このコースで何をラーニングするかも、各自決めるところから始まりました。

IDBM Challengeは全部で3週間ですが、個人での課題をこなすタスクもあり、チームワークの時間(ほとんどこれ)もあり、ゲストレクチャーの時間も沢山ありました。以前書いたCooking Slamもその一貫です。学びの切り口は様々ですが、一貫して「Ideation(考える)→ Validation(検証する) → Execution(実行する)」というプロセスを学ぶフレームに沿っていました。

チャレンジ : Sustainable Development Goals 

今年のチャレンジのテーマは、「持続可能な開発」。国連にはSustainable Development Goals (持続可能な開発目標)という目標があり、貧困、平和、男女平等、地球温暖化、エネルギー、など、17個のカテゴリーを2030年までに全て達成するという具体的な期限も設けられています。それをヘルシンキコペンハーゲンのコンテクストにおいて考えようというお題です(IDBM Challengeではコペンハーゲンにもクラスをとっている学校があります)。そして3週間の最後には調べたことを発表するプレゼンイベント(ペチャクチャナイト)を開催しよう!というシメのお題もありました。

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画像:United Nations Department of Public Information

チーム編成と課題

チームの結成はそれぞれのメンバーの分野(biz, tech, design)を考慮した上で振り分けられました。僕のチームは5名で、フィンランド人、韓国人、ドイツ人、日本人(自分)という構成。そして「NO POVERTY」(貧困をなくそう)のお題を割り当てられました。 

ヘルシンキにおける貧困、の定義

実はこれはものすごく難しい問題だと感じました。世界で比較したらフィンランド社会保障制度が進んでいます。アメリカの様に貧富の差がものすごく広くありません。ヘルシンキのような都会では見方によっては貧困は存在しないという意見もあります。「その日の食料にも困っている人」が街中にそんなにいない、というようなことです(本当に少ないです)。一方で、Bread Queueという低所得者のための食事の無料配布も行われており、列ができるほど並ぶ場合もあるという事実もあります。

悩みに悩んだ結果、僕のチームはヘルシンキにおける貧困とは何か」の定義から始めました。そして書物、オンライン調査、フィールドリサーチ(長期失業者をトレーニングする施設 UUSIX への訪問)を実施。

写真はUUSIXの内部。ミシンの使い方をトレーニングする部屋。

UUSIX

調査した結果をまとめ、貧困とは「長期失業による機会損失、及びそれによって被る物理的・精神的悪循環」ということに到達しました。以下は調査の過程でわかった事実です:

  • 「長期失業」の定義は2年間仕事がなかった人のこと
  • 2018年6月の時点でヘルシンキエリアの長期失業者は22,000人
  • 失業手当はかなり細かく設定されている
  • フィンランドでは文化的に、失業することに対してのスティグマ(恥辱)がある
  • 一度長期失業にハマると抜け出すのが難しくなる 

ヘルシンキの長期失業(による貧困)を解決するソリューション

課題が定義され、それの解決策を模索しました。またまたフィールドリサーチを行い、失業者をケアする組織 HeTy Association や 難民とスタートアップを繋げる会社 The Shortcut へ訪問しました。似た様な課題に挑戦する組織へのインタビューを通じて、解決策のアイデアを模索できると考えたからです。

写真はHeTy Associationの食堂の様子。

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訪問後、考えをまとめた僕等は、失業者と企業が交流できるカフェ「Coffee Instead of Ties」を創設するという解決策を考案しました。

以下はこのカフェの概要です:

  • 物理的エンゲージメントは仕事を探すハードルを下げる
  • ↑ 暖かいコーヒーを飲みながら気軽に交流できる環境ならさらに良い
  • コーヒーという暖かい飲み物は心身の安らぎを高め、物理的交流を促す(フィンランドはコーヒー消費量世界1)
  • 失業に対するスティグマ(恥辱)をできる限り除く
  • 政府の支援プログラムを利用してこのカフェのファンディングをする
  • 企業側は一人採用する毎に金銭的な支援を受けられる

本当にこんな場を必要としている人がいるのか?という問いを検証するためにも、失業者のケアをする施設の人にも念入りに聞いてみました。「とても良い切り口だ。いつオープンするのか」などのコメントもいただけました。実際には仮想のソリューションなので残念ながらカフェをオープンするまでにはいたってないことを伝えました。もしかしたらその組織内において検討できるかもとのこと。

最終イベント - Pechakucha Nightを自分達で開催する

最終イベントはPechakucha  Night(プレゼンイベント)を開催するというものでした。Pechakucha Nightというのは、20枚のスライドをそれぞれ20秒ずつ(6分40秒)で説明するプレゼンテーションイベントです。ロケーション(Maria 01という古い病院跡を利用したスタートアップランド)だけは確保されていたものの、会場設営や客の招待、ドリンクや食べ物の提供など、全部自分達でやりました。プレゼン準備+イベント準備の同時進行で多忙な毎日でした。

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上の写真はイベント開場後すぐの様子ですが、最終的には満席になるくらいのお客さんに来場いただけました。そしてどのチームも完成されたプレゼンテーションを披露。IDBM Challengeは13チームあり、全てのチームがそれぞれ与えられた課題に対する解決策を発表しました。

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直前のリハで僕等のチームのプレゼンの仕立てと流れがイマイチだったいうことに気づき、本番直前まで見直しと練習を行っておりました。最後にはなんとか無事にまとまり、ストーリーのあるプレゼンとして発表できたと思います。

まとめ

  • IDBM Challengeの3週間は密度が濃く、個人的には本当に面白かった
  • 良いチームメンバーに恵まれ、一致団結できた
  • しかも全員結構納得のいく形で物事を進めることができた
  • かなり真剣に取り組んだのでチャレンジングだったが学びも多かった
  • 教授からの丸投げ感がすごい
  • コースの構造上、タスクやデイリーの課題に対して「何故これをやっているのか」を常に自分の中で意識していないとブレる
  • イベント終了後のチームの、そして皆の結束の強さがすごい

明日からの3週間は新しい授業 Corporate Entrepreneurship and Design が始まります。ヘルシンキはもう冬の寒さで「あー風邪ひくなー」と思ってたら予想通り見事に風邪をひきましたが、また気を引き締めてがんばりたいと思います。

ヘルシンキのバスのいいねボタン

 ヘルシンキのバスの中には通常、ボタンが2つあります。 

一つは赤いボタンでSTOPと書かれています。

降車するときにバスの運転手にシグナルするためのものです。日本のバスのボタンと同じ機能です。

こちら↓

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もう一つは青いボタンで、ベビーカーのイラストが書かれています。ベビーカー等を連れていて降車に時間がかかりそうな場合、こっちを押します。長くドアを開けるように、と運転手に知らせる仕様です。

こちら↓

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先日バスに乗っていたら、もう一つボタンがあることに気づきました。

こちらのボタンです↓

helsinki_bus_like_button

いいねボタン?

気になってその場でスマホで日本語で検索するも、それっぽい答えは出ず。。英語で検索しても同じく答えは出ませんでした。

付近の人には話しかけられません(フィンランドでは知らない人にあまり声をかけません)。 

ならば押してみるしかない!。。。と思っても、なんの効果があるかわからないボタンを異国の公共交通機関で押す勇気はなかった。。。

写真を撮り、バスを降車しました。

後日、フィンランド人の友人に聞いてみたところ、誰一人としてこのボタンの機能を知っている人はいませんでした。みんな「なんだこれは!初めて見た!」とドン引きです。10人ほど聞いても誰一人として知らなかったので、一人がフィンランド語で検索してくれました。

あっさりフィンランド語で記事が出てきました。 

なんと、運転手への「お疲れ様!」のボタンだそうです。

友人の翻訳を通すと、こんな意味です。

 このいいねボタンは150台ほどのバスに導入されていて、このボタンを押すことで効率よくドライバーに感謝の気持ちを送ることができる。 

やっぱり「いいね!」のボタンだったんですね👍

このいいねボタンは2013年に数台のバスに設置されたらしいです。全てのバスにあるわけではありません(僕は通学に55番のバスを使いますが、何回か見ました)。

もしヘルシンキでいいねボタンがあるバスに乗れたら是非押してみましょう!

この間まさにチームでディスカッションをした「Contageous Positive Cycle」(ポジティブなサイクルが伝染して周りに巡る仕組み)が起きるかもしれません。

※追記:再びこのいいねボタンがあるバスに乗車することができました。押すと音は無く、ボタンが青く光りました。運転席に伝わる仕組みがあるものと想像されます。

👍👍👍👍👍👍👍👍👍