アールト大学 IDBM留学日記

デザイン × ビジネス × テクノロジー

アールト大学International Design Business Managementとはなんなのか

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*当記事は筆者が実際にアールト大学IDBMに留学してから更新しました

IDBMとはどういうプログラムなのか 

今回はアールト大学International Design Business Management (以下IDBM)とは、について書いてみたいと思います。まだプログラムが始まってないので実体験できているわけではありませんが、情報収集時/面接時に知ることができたことベースでシェアしていきたいと思います。 

1文にまとめると、IDBMは「デザイン×テクノロジー×ビジネスの3分野を融合させ、異分野理解を深めたT型人材を育てる修士課程」のプログラムです。

 当プログラムの詳細を紹介するページにはこのように書いてあります:

IDBM educates students with arts, business, science and engineering backgrounds as T-shaped professionals providing them with a strategic view into creative leadership and management of international design-centric businesses, operations, and product and service development. The objective is to gain knowledge in multiple disciplines and to learn to connect one’s own disciplinary expertise to a wider multi-disciplinary, inter-disciplinary and trans-disciplinary design business framework. The global approach of IDBM programme prepares students to work in multi-cultural settings and collaborate across national and cultural boundaries. Graduates of the IDBM programme will be able to manage and lead initiatives and other individuals in order to undertake new business ventures within global environments.

日本語に訳すと以下のような感じ:

IDBMは、デザイン、ビジネス、エンジニアリングの背景を持つ学生をT字型のプロフェッショナルとして育て、ビジネスやオペレーション、製品やサービス開発といった現場において創造的なリーダーシップと戦略的な視点を発揮できるよう、教育の機会を提供します。このプログラムの目的は、異なる分野で知識を習得して自らの専門領域をより幅広いフレームワークに結びつけることです。IDBMが重要視するグローバルなアプローチは、国や文化の境界を越えて協力できるよう学生を訓練します。卒業生は、多文化環境の中で様々な新しいビジネスベンチャーに挑むために組織やチームを導くことができる、いわゆる「T型人材」として世界で活躍することができるでしょう。

IDBMの歴史

*情報はIDBM設立初期の資料やIDBM運営チームとのディスカッションより

International Design Business Management(IDBM)は1995年、ヘルシンキ経済・経営大学(Helsinki School of Economics and Business Administration)、ヘルシンキ芸術・デザイン大学(University of Arts and Design Helsinki)、およびヘルシンキ工科大学(Helsinki University of Technology)の3つの大学間で試験的にスタートを切りました。これは後に上記3つの大学が合併して「アールト大学」として生まれ変わる以前、故Reijo Luostarinen教授によって設立されました。フィンランド教育省によってサポートされたこのコラボレーションは、フィンランドの産業の未来を担う成功要因になると考えられたのです。

当時はそれぞれの大学より10名の学生(合計30名)を集めて始まったこの実験は、企業が常に必要としていた「T型人材」を体系的に育成することに対する答えでした。この実験は修士課程の副専攻(Minorと言われます)として提供され、個人の専門を超えたチームワークを教育理念としたプログラムになりました。

そして時間の経過とともにIDBMのカリキュラムは進化し、社会の動向や業界のニーズに合わせてプログラムの関連性も進化していきました。参加した学生だけでなく業界パートナーからも高く評価されるようになり、IDBMは単なる副専攻以上のものになる必要性が認識されました。

そして2010年、IDBMは修士号の専攻プログラム(Majorとして)として正式に認定されました。これは、科学、デザイン、ビジネスを融合した新しい革新的な大学を設立するための「フィンランド大学改革」の優先プロジェクトとして、アールト大学の設立(UIAH、HSE、HUTの3つの大学の合併による)と並行して行われました。この形成により、IDBMはアールト大学で提供される修士課程の中で学校間を横断して組まれる最初の大学院プログラムとなったのです。

IDBM卒業時に取得できる学位

自分の分野によって取得する学位がそれぞれ違います。ビジネス分野およびエンジニアリング分野はMaster of Science (MS)、デザイン分野はMaster of Arts (MA)になります。僕は後者のMAになります。

IDBMの期間

2年間になります。 

IDBMの学院生構成

このプログラムではデザイン、ビジネス、エンジニアリング、それぞれの分野から12人ずつが参加し、合計で36人で構成されます。授業ではビジネスのクラスもあり、工学のクラスもあり、デザインのクラスもあり、です。異なるバックグラウンドを持つチームメイトでグループを作ることでお互いの強みを発揮し合い、お互いから学ぶ、ということができます(単に講義を聴くだけなら単独でもオンラインでもできる、という思想)。学院生の半分はフィンランド人、もう半分は僕の様な海外からの留学生、と聞いています。

IDBMの授業構成

1年目はrequired (cumpulsory?という単語を使っている)の授業がずらり。2年目からはthesisとelectiveで構成されるので個人における自由度が高いそう。 

Industry Projectという6ヶ月のリアルプロジェクト

IDBMの1年目にはIndustry Projectという、産学連携の6ヶ月間に渡る、リアルプロジェクトがあります。それぞれの分野から2名ずつほどが集まってチームを結成し、IDBMと連携している企業または自治体と一緒にプロジェクトに携わります。実に様々な組織とコラボしているらしく、ヘルシンキ市などの自治体、UNICEFなどの非営利組織、AIRBUSなどの公開企業、などなど。どのプロジェクトもチャレンジングながら楽しそうです。プロジェクトの紹介ページにはティーザーのビデオが掲載されていますが、機密度が高いプロジェクトもあるようで、最終結果が知れないものもあります。

Admission (応募/受験について)

別途記事に書こうと思います。