アールト大学 IDBM留学日記

デザイン × ビジネス × テクノロジー

深圳&香港:HAX, seeed Studios, brinc, Smarlean訪問、その他色々

深圳と香港に行った目的は企業訪問と、現地の様子の観察。今回のエントリーは深圳と香港での企業の訪問についてです。僕等のプロジェクトテーマがIoTに関することを考慮するとやはり深圳という街に行けて、また、現地の会社にたくさんナマのお話を聞かせてもらえたのはものすごい収穫でした。ただ訪問内容に関して、ここではかなりざっくりとしか書けないことについては何卒ご容赦をm(__)m

訪問した企業①:HAX(旧名Haxlr8r)

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HAXはかなりの秘密主義。オフィス内部も最後の集合写真以外は一切禁止。

HAXは世界最大のベンチャーキャピタル型ハードウェアアクセラレーター。オフィスは深圳とサンフランシスコにあり、選び抜かれたスタートアップがHAXの援助を受けながら成長を目指すというプログラムです。深圳オフィスは最大の電気製品街「华强北」のど真ん中にあります。実はHAXはかなりの秘密主義だということでも有名で、ウェブサイトを見てもオフィスの所在地は書いてありません。僕らもアポ当日までオフィスの場所がわかりませんでした(笑)一部聞いた話では、目的なくHAXをただ見てみたいという団体の視察要望が多すぎて対応に困り、今は意味のない訪問を受け付けていないのだとか。僕等もダメ元で「会ってください」といきなりメールを送ったのですが、なんとデザイン責任者の方が返信してくれ、現地では丁寧に対応してくれました。マーケットのツアーまでしてくれたのは感激。そもそもメールに返信してもらえると思っていなかったのでビックリです。学生であることを考慮してくれて特別に会ってくれたのかもしれませんね。

HAXのデザイン責任者から聞けた話をまたざっくりまとめると以下のような感じ:

  • HAXが支援する企業には本当に成功してもらいたいと思いで支援している。支援先の会社のエクイティを取得するので、資金だけでなく、ハード、ソフト、ビジネスモデル、その他色々な切り口で援助。
  • プロダクトをローンチしたらもう2つ目(または改善版)をローンチする準備をしていないといけない。それくらいのスピードがないと正直やっていけない。
  • 华强北で見れる大量のコピー製品について。オープンソースとコピーの境目はどこか? → 深圳(というか中国)でコピー製品をコントロールするのは不可能。それは長年先進国がアウトソース先として中国に依頼してきた代償(実際、本当にiPhoneそっくりの偽物がわんさかマーケットで普通に販売しています。本物です、という証明のシールも領収書も売っている)。自分がコピーしなければ結局誰かがコピーする。コピーという概念は間違ってはいるが、中国のコンシューマーはブランドロイヤリティがほぼ無い。元と同じように動くものが安く手に入るのならあっさりそっちに乗り換える。ここの文化は「シェア」の文化。いいものはどんどん盗むし、盗まれる。
  • なのでHAXでは盗まれにくいものを支援(技術は盗まれるので、それを取り巻くビジネスモデルだとか、そういったもの含め)。
  • デザイン思考のようなプロセスはHAXではやっているのか? → NO.むしろどっちかというとデザイン思考反対派。メソドロジーは腐る程ある。深圳ではDoingが尊重される。課題がうんぬんよりもとにかく早く、速く作って検証してしまうほうが良いとの考え。そのために深圳という街でやっている。

訪問した企業②:Smarlean

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製造するディスペンサーも色々

Smarleanは深圳にあるディスペンサー(石鹸、洗剤、トイレ紙の)を受託製造する会社。創業16年目にして中国内における医療用の手の石鹸ディスペンサーはシェアNo.1だそうです。創業者兼副社長の方がこれもまた丁寧に会ってくれました。(本当に、メール1本送っただけで良く会ってくれるなと思いました。。)Smarleanは深圳中心部から1時間半ほど電車で北へ行ったところにあります。開発が猛スピードで進むエリアへ朝のラッシュにもまれながらもなんとか到着。応接室には製造しているディスペンサーがずらり。ベストセラーモデルからカスタムメイドのモデルまで、色々ありました。

Smarlean副社長から聞けた話はこんな感じ:

  • 主な発注企業は米国のKimberley-Clark社等。
  • ディスペンサーの中身を他社にすり替えられないよう、中身も同時に製造して納品。他社の参入を防ぎ、マーケットは自分で守るもの。
  • 受託製造者の優先事項は徹底したコストダウン。衛生管理用品は売り上げを生むものではない。
  • よって衛生管理用品マーケットはかなりトラディショナルな市場。イノベーティブなことができるのは薄いエリア。
  • 下手にR&D投資はできない。して顧客が欲しがらなければ命取りに。
  • SARSやインフルの影響で国民の衛生に対する意識や関心は高まってはいる。なのでディスペンサーを設置する場所も増えているのでマーケットは拡大している。

訪問した企業③:seeed Studios

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seeed Studioのオフィス内部

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エントランスのマット

seeed Studiosも視察に人気がある企業です。The IoT Hardware Enablerという副題がついているだけに、主にIoT系スタートアップを支援する会社ですが、HAXと違うのは投資するのではなく、少量のハード製造(プロト製作)によってスタートアップをサポートするというもの。まだコンセプト段階のものは大企業の大量生産モデルに請け負ってもらえないため、数十個〜数千個という単位までやるのが強みだそうです。メインの事業はPCB(Printed Circuit Boards)の開発と販売。カスタムオーダーも請け負っています。ここではテクノロジーエバンジェリストの方からお話を伺えました。

seeed Studiosから聞けた話はこんな感じ:

  • ハードウェアで難しいのは本当は技術云々ではなく、顧客やコンシューマーのニーズを理解すること。
  • 多くの企業は↑をスキップするからハズす(み、耳が痛い...)。
  • スケーラビリティはコストダウンできるのでプロトタイプができたら早いほうが良い。
  • 5Gは業界を別に変えない(動画を必要とする広告配信くらいじゃない?)。
  • 個別の企業ではなく、業界全体向けにつくらないと意味がない。
  • seeedが提供するGroveをスマート農業に使う試みとしてIoTea(Internet of Tea)(笑)というプロジェクトがあった。
  • 現在はそこからの学びを生かし、システムインテグレーター向けのIoTプラットフォームを開発中

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お仕事中お邪魔しました(※本当に邪魔だったと思う)

ちなみにseeedのオフィスは電機大手TCLグループが提供する街区にあります。かなり整備されて素敵なのですが、ここで噂のヒューマンレスコンビニを見つけることができました。

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無人コンビニ的なアレ

遂にWechatPayもAlipayも始められなかった僕らは何も買えませんでしたが内部のレイアウトは見れました。が、残念なことに故障中?でオーダーと決済を行うディスプレイが死んでました。

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ディスプレイが死んでた。本当は画面で注文と決済をする。はず。

訪問した企業④:brinc

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香港のハードウェアアクセラレーターbrincのオフィス

こちらの企業は香港に渡ってから訪問した企業です。brincはHAXと同じように企業のエクイティを取得して共に成長を目指す形式のアクセラレーター。香港のヒップなエリアに素敵なオフィスがあります。ここでは共同創業者にしてCOOの方が案内してくれました。

brincから聞けた話はこんな感じ:

  • 香港という本社所在地を選んだのは中国国内だと金盾の影響が出てしまう。
  • brincはビジネスコンセプトとチームを見て支援するかどうか決める。
  • 創業者は2人という確信みたいなものを持っている。
  • brincでは人々の生活から採取できる「データ」を重視して事業を選択。
  • ソフトウェアでは全てが繋がっているが、ハードでは繋がっていないものがほとんど(椅子、机、ドア、なんでも)。
  • 今まで気にも留めなかったことに注意深く目を向けてみると驚くほどのことがわかる。

その他色々訪問

深圳と香港では企業の訪問だけでなく現地のシャオミの旗艦店やIoT博物館(?)なども見れました。いくらオンラインで調べられるとはいえ、読むのと行って体験するのは別物。ここからは色々訪問できた写真シリーズです。

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小米之家-外観

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小米之家-内観 コンシューマー向けIoT製品が2階に色々売ってます

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文字通りカラオケBOX

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メトロ駅前に並ぶ大量のofo

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华强北のメイン通り

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マーケットはこんな感じ(本当に広い)もうカオス

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液晶広告にOSのウィンドウが映り込む不具合w こういうところも好き

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ブロックチェーンカフェ。意味不明です。(ただのカフェでした)

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今回の中国でもやはりサソリやムカデは食べられませんでした

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が、深圳でも香港でも美味しい物を食べまくりました。やはり食においてアジアは最強!

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定番写真

以上、深圳+香港で訪問できた企業のまとめでした。月〜金までの5日間、1日1件の訪問+エリア視察+皆で観光というかなりハードなスケジュールでしたが、膨大なinputがある実りの多い調査旅行だったと思います。チームも終始、特になんの問題もなく旅程をこなせました。

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深圳・香港旅行無事終了